向井さんが行った代理出産にはたくさんの問題があります。
日本で禁止されている代理出産を、法の目をかいくぐるようにアメリカで行い、アメリカでアメリカ人が産んだ子どもを実子として認めよと主張している姿は、社会通念上理解できないし、ものの道理を知らないただの我がままな子どもです。(彼女のブログのBBSでは、否定的な書き込みは、理性的なものであってもすぐに削除されるようです)
向井さんの代理母となった女性は、夫が破産して膨大な借金が必要だったのです。ここに、ただの金持ちの日本人と貧困に苦しむアメリカ人の構図があります。女性がお金に困っていなかったら、引き受けなかったのです。彼女は自分の事例を、不妊に悩む夫婦への希望になると思っているようですが、普通の人間には代理母を依頼するような経済的余裕はありません。
その女性は向井さんの赤ちゃんを産むことに際して、絶対に産道は通さず、帝王切開での出産を望んだそうです。毎日ホルモン注射を打ち、その副作用でイライラし通しだったとか。(参考:第10回 取材の裏側C 代理母インタビューの真実)
向井さんは、これら代理母となる女性のリスクや肉体的・精神的苦痛をどう考えていたのでしょうか。もしも彼女に何かあったらどう責任を取るつもりだったのでしょうか。しかも、自らの体験をドキュメンタリーにし、エッセイまで出版して商品化し公表しています。子どもたちが将来自分の出生にまつわる事実でアイデンティティについて悩むことになったらどうするのでしょうか。子の福祉を考えず、「自分たちの遺伝子を持つ子どもしか愛せない」という強烈な親のエゴで代理出産を選択した向井さんの一連の行為は、理解に苦しみます。
では、金銭的報酬が介在しなければ代理出産は許されるのでしょうか。
日本産科婦人科学会の代理懐胎に関する見解には、代理出産禁止の理由として、
1) 生まれてくる子の福祉を最優先するべきである
2) 代理懐胎は身体的危険性・精神的負担を伴う
3) 家族関係を複雑にする
4) 代理懐胎契約は倫理的に社会全体が許容していると認められない
の4つを挙げていますが、至極真っ当な理由だと思います。
また、代理母を考える上で大変参考になる意見を述べてあるブログがありますので、引用しご紹介します。代理母に関心のある方はぜひ一読されると良いと思います。
そのブログから、「代理母の問題点」を引用してみます。(以下12点。詳しくはぜひ元のページをご覧下さい。)
1 妊娠・出産に対するリスク。場合によっては代理母が死ぬ事もある。(事例あり)
2 子供が障害を持って産まれてくる事もある。産まれた子供に障害があったため依頼者夫婦が引取りを拒否する事もある。(事例あり)
3 母性本能の軽視 - 代理母が(十月の間、自分御身体(子宮)の中で育んだ)子を第三者(依頼主)への引き渡しを拒否する事もある。(事例あり)
4 依頼者が、子供の引き取り拒否する事もある。(事例あり
5 依頼者の都合で代理母に中絶をさせることもある。(事例あり)
6 依頼者が、子供が産まれる前に事故などで死亡したりして引き取り不可能になるという事も考えられる。
7 女性を人格を持った人間として扱わず、子供を産む道具として扱うことになる。(臓器提供との関連)
8 受精卵を診断し遺伝病が無いか確認する事になるが、これは子供の選別、障害者差別に当らないかと言う問題
9 生命倫理の問題。
10 代理出産した家族への影響。出産を依頼した家族への影響。子供への影響。
11 代理出産の強要
12 施術の精子、卵子の取り違え
「代理母システムについて、代理母について語られる時、不妊カップルの子供が欲しいと言った感情論で語られる事が多いですが、(借り腹)代理母というシステムは、決して産まれてくる子供の為の物でなく(産まれてくる子供の事を少しでも考えれば、認められていない第三者に危険を強いる手段を使って子供を製造するなど出来無い行為です)、その対局にある子供の欲しい親に子供を与える(親のエゴを満たす)為のシステムです。そしてリスクを負うのは代理母です。代理母契約は、女性を生殖の道具として扱う契約で、妊娠出産における母体への負担は大きく、死の危険を伴う物であり、そのような危険を第三者に強いる行為は、あまりにも身勝手で、その契約は違法であり無効とするべきです。臓器が売買したり貸し借りする物でないのと同様に、子宮も売買したり貸し借りする物ではありません。」というこの方の意見に、賛同します。やはり真の意味での子の福祉を優先させるべきだと思います。
いくら医療が進んでも、人の死はどうすることもできないように、人の生も本来どうすることもできないもので、それこそ授かり物だと思います。自分たちの遺伝子を持つ子どもしか愛せないという視野の狭い人間に、どれだけ愛に満ちた育児ができるか疑問だし、そんな考えだからこそ、他人に大きなリスクを負わせても自分たちの願望を果たしたいという行為に至るのだと思います。また、代理出産が少子化対策に有効という意見は全く根拠もないし、実効性もないと思います。
ちなみに、代理出産を認めている韓国では、「代理出産に韓国ルート 国内業者が2組と契約」「韓国人女子大生ら、日本人249人に卵子提供…ブローカー摘発」といったニュースのように、日本人が関係した代理出産ビジネスがすでに問題化していることも付け加えておきます。


